ゾーン断熱とは
ゾーンとは、普段生活する場所を動線で結んで断熱改修工事をすることです。
家の中を行き来するなかで、出来る限り温度差を感じることのないようにするために行います。
日本の断熱性の大きな問題点の一つが、空調管理が各部屋で行われている、というところがあります。
ヨーロッパなどでは家中の空調を全体で管理しているため、家の中の温度ムラがありません。
しかし、部屋ごとに空調を行っているのが日本の住宅なのです。
たとえば冬は、暖房であたためられた部屋から、空調管理のされていない寒い廊下やトイレ、浴室などに移動することにより急激な温度差が発生してしまいます。この温度差が身体に大きな負担をかけ、ヒートショックなどの重篤な病を引き起こす原因となります。
また、部屋ごとに温度ムラがあると、結露の発生の原因ともなります。
湿度は均一化しようとする特性があります。つまり、あっという間に湿気は同じ空間であれば広まっていきます。
その空間の中で、温度の高い場所と低い場所があると、空間で一番温度の低い場所が結露してしまいます。
水蒸気の分子はとても小さいため、湿気は多くの建材を通り抜けて移動します。
暑い時期であれば、部屋の中が暑くても壁の中が冷えてしまっている、ということがあり、壁の中で結露してしまう(内部結露)という現象が起きてしまうわけです。
つまり、
「夏でも冬でも、家の中に温度の低い所、高い所を作らないような家づくりが必要」
というわけです。
ご存知のとおり、結露は木材を腐らせ、家の耐久性を損なうばかりでなく、カビやダニの発生原因ともなりますから注意が必要です。
現在のお住まいの気密性・断熱性に不安がある方で、家を建て替えるまではちょっと、という方にオススメなのが、「ゾーン断熱」という方法です。
家の中で日常よく使用する部分を生活ゾーンとして結んで断熱改修工事をする考え方です。
居間や台所、寝室、お風呂やトイレ、それらを結んだ部分を一つのゾーンとし、ゾーン内の断熱性を高めるのです。
ゾーンの中で温度差がなくなることにより、暮らしの中でヒートショックなどの事故が発生することを抑制し、毎日をもっと快適に、健康的に過ごすことが出来ます。
家全体の断熱工事と比較して、カンタンな工事で行うことが出来ます。
まさに、住み慣れた家を暑さ・寒さに悩まされない家へのリノベーションとなります。