世界遺産 五箇山にある合掌造りの構造
古民家鑑定士の資格を取得し、古民家マニアを目指しております。
富山県にある世界遺産、相倉集落に行きました。合掌造りの家で現在もお住まいです。
本日は「合掌造りの構造」についてお話いたします。
「合掌造り」は茅葺きの叉首(さす)構造の切妻屋根の建物で、急勾配の屋根が手を合わせた姿(合掌)に似ていることから名付けられたそうです。合掌造り家屋は、小屋組(屋根を支える骨組み)と軸組(柱・桁など主要部の構造)がはっきりと分けられる点が、ほかの民家とは異なる特徴です。この構造は大工が伝統的な組み方で立ち上げる軸組に対し、小屋組は住民が協力して作る、集落の慣習が生み出したものです。
積雪が3mを超える豪雪地帯の五箇山では、雪の重みや強風に耐える構造は何よりも重要です。小屋組は、叉首(さす)(ガッショウ)を三角形に開き屋根を急傾斜とするだけでなく、軸組との境の叉首下端をウスバリに挿し込むだけの柔軟な構造で、積雪や強風によるゆがみに強い。また、その屋根の重さを柱に伝える軸組の「チョンナバリ」は、山の傾斜で育った根元の曲がった樹木を使い、構造的にも意匠としても優れていることが特徴です。是非皆様も足を運んでみてください。